ホリエモンがピケティについてコメントしてた件。

こないだニュースステーションホリエモンがピケティについてどう思うかインタビューされてた。
私も「21世紀の資本」はちら見で、あとはピケティのインタビュー記事等を読んだだけだが、それにしても「それ、違うんじゃないの?」と思わず突っ込みたくなった(だが、古館は突っ込まなかった…)。ホリエモンはピケティの論考についてまともに知りもせずに発言しているのだろう。たぶん、左派的な主張に全く興味がないのだろう。
(以下、個人的なメモなので、ホリエモンやピケティの引用については厳密ではないのであしからず)

「金持ちなんてどうでもよくないですか?」

以下の記事でも明言しているが、これに関してはピケティも同意見。ピケティが問題視しているのは、金持ちがより金持ちになるということではなく、その他99%がどんどん貧しくなっている点だ。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20150204/277158/
論点は、このまま格差が広がり続けても社会は持続可能なのか?という点だと思う。この点はピケティも断定しておらず、革命が起きるレベルの格差が生じているとしつつも、格差を正当化する根拠付けができればそのまま社会は持続されるかもしれない的なことを書いている。
いずれにせよ社会がひっくり返れば、貧乏人も金持ちも皆不利益を被ることは間違いないだろう。

「(金持ちに対するねたみのような)感情論で考えないほうがよい」

問題が、金持ちがより金持ちになることではなく、残り99%がより貧しくなっていることだとすれば、これは感情論ではなく、勘定論だ。
ピケティブームの背景に感情論があるかはいざ知らず、ウォール街が占拠されたりしたのは、単なる感情論よりもっと切実なものがあると思うけどな。

グローバリズムで世界の中での格差はむしろ縮まってきている」

これはおそらくピケティも同意。ただ、ピケティが論考しているのは個人間でみた場合の格差だ。

グローバリズムは、世界どこでも同じ結果を出したら同じ賃金がもらえるという平等な世界につながる」

ピケティもグローバリズムには肯定的で、むしろ「格差拡大を放置する最大のリスクは、多くの人々がグローバル化が自身のためにならないと感じ、極端なナショナリズムに向かってしまうことだ。」と考えている。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDF19H05_Z11C14A2SHA000/
しかし、ピケティの結論は、このまま何もせずにいくと「同じ結果を出したら同じ賃金がもらえるという平等な世界」からどんどん乖離していくというものだ。
何故なら r > g により、資産のほうが労働よりお金を増やしてくれるから。
更にそれだけでなく、お金持ちは子供達により多く投資することができるので、同じ働くにしても金持ちの子供のほうがより高い賃金を得られるチャンスがある。
ピケティはこれを「不平等」だと指摘している。

「ピケティはマーケティング的に貧困層に受けるようなテーマを扱っているのでは?(実際に彼がどういう意図かは知らないけどね)」

一般受けを狙うなら700ページ以上もあるような本は書かないと思おうし、ブームを狙ってたのならピケティは転載マーケターということになるだろう。
しかし、NHKで彼の講義を見たりした印象だと、あくまで経済学者であり、現実をよく説明できるモデルを構築したいというのが第一のモチベーションなのだと思う。
グローバル資本課税のような提案は2次的なものではないかと思う。
しかし、ピケティをネタにマーケティングしようとしている人達はたくさん居るのかもね。