FX業者の儲けの仕組み?

FXって結構流行ってるらしい。

結構、いろいろな業者がいるようだが、手数料無料や低スプレッドを謳う業者が多い。では、彼らはどうやって儲けているのか?ちょっと妄想してみた。



FXは「相対取引」の形態の業者がほとんど。「相対取引」とは、要するにFX業者とプレイヤー間の取引であり、プレイヤーが出した注文がそのまま市場に出される訳ではない。業者は、プレイヤーからの現金化の要求に応えられれば十分ということらしい。必要に応じ、業者は銀行にリアルな売買注文を出すのだが、極端な話、プレイヤーから注文を受けても、全く何もしなくてもよい。もし、全プレイヤーの勝ち額合計より負け額合計の方が大きければ、何もしなくても業者としてはプラスだ(もちろん、売買システムやマーケティング費用等のコストをカバー出来なければ赤字だが)。要は、為替レートを賭けの対象としているだけで、競馬やカジノと構造は同じ。「胴元vs子」の構図なわけだ。

しかもFXの場合、必要証拠金というものが定められており、損をして残高が必要証拠金を下回ると強制的にロスカットさせられるというルールがある。これは、プレイヤーを巨額の損失から守るという面もあるが、じっとレートが戻るのを待つ機会を絶ち、プレイヤーの損失=業者の儲けを確定させるということにも繋がる。

では、FXをやっている人たちは全体として儲けているのか損しているのか?やはり賭け事は胴元が儲かるようにできているのか?


以前見たニュースで、FX業者が「通常は顧客の二割くらいがプラスだが、アベノミクス効果で今は五割くらいの人が儲けている」と語っているのをみた。この2割、5割というのは大きいのか小さいのか?

所得の分布、企業の売上の分布などは「べき分布」に従う場合が多いことが知られている。そこでFXのプレイヤーの儲けもべき分布に従っていると仮定してみよう。べき分布では、いわゆる「2:8の法則」が成り立つ。一部のプレイヤーが全体の儲けのほとんどを稼ぎ出しているということだ。で、ちょうどこの2割と8割の境界線のあたりに平均がくることが多いようだ。アクセス解析のデータをいじっている経験上もそうだし、計算してみるとだいたいそんな感じになる。


2割とか8割とかの数字は分布の仕方によっていろいろ変わる。もっと極端に1割の人たちが9割の儲けを出しているかもしれないし、逆にもうちょっと儲けが分散しているかもしれない。なのではっきりとは言えないが、「全体の2割が儲けている」というのはプレイヤーにとってそんなに悪い数字ではないかもしれない。ちょうど平均が儲けの出るぎりぎりのところなので、全体としてはほぼトントンといった感じではなかろうか。FX業者から見ると、実際に為替売買せず、客との取引を裁くだけでプラマイ・ゼロということになる。もちろんFX業者には更にシステムの運用費などのコストがかかるので、そのままだと赤字だ。集めた金を適切に運用し、そこから利益を出さなければならない。ただ、プレイヤーの証拠金は業者にキャッシュとして入ってくる訳で、大きな運用資金を集めることができる。また、業者はその気になれば、全てのプレイヤーの手の内をリアルタイムで把握することができる。天才プレイヤーのポジションをそっくりそのまま真似て実際の取引を行うことも不可能ではないだろう。うまく運用する手立てもいろいろありそうだ。

それに、そもそもこの2割という数字の出し方にからくりがある可能性もある。いくらプレイヤーが儲けようと、それを現金換算するまではバーチャルな金なのだ。一時儲けても、後でより大きな損失を出せば結局マイナスだ。


5割という数字はかなりいい数字ということになる。が、アベノミクスによる一時的な結果だとすると、今後、初心者が調子にのってより多くの額をつぎ込み結果的により大きな損を出すという可能性が高い。更にテレビで「儲かってる人が増えてます」と宣伝することで、より多くの初心者が飛び込んで火傷することにも繋がるだろう。


というわけで、あまりはっきりした結論を出せなかったが、やはり胴元はもうかるような仕組みになっていのではと勘ぐってしまうのであった。