今更、松本人志「しんぼる」の批評など書いてみる

正直、期待していなかったが、期待を完全にいい意味で裏切ってくれた。
「こんな笑いもやれるんだ!」と、改めて松本の懐の深さに感服。

この映画、結構、酷評されているようだが、何故だろう・・・。納得できる批判は見つけられなかった。
「難解」というコメントが多いが・・・かなり分かり易いと思う。
「松本が麻原に見えた」というコメントもあったが、これは狙いかも。

宗教に対するブラックジョークと取れるから。
ただ、麻原は「自分は神だ」と思っていたとんでもない勘違い野郎だったが、松本演じる男は自分のしていることの影響がわかっていない分、更にタチが悪いかもしれない。
「もし神様がおったとして、実はこんな奴なんちゃうか?」という妄想を映像化したとも観れる。
もしそうだとすると、神様に祈りを捧げるなんて行為が全く意味のないものになってしまうわけだが・・・

あるいは、男の姿は人類をネタにしたブラックジョークとも取れるだろう。
自分の行動が何をもたらしているのかよく理解もせず、ただ闇雲に進める方向に突き進む。

後半まで「いったいどう落ちを付けるんだ?」とさんざん思わせておいて、最後に一気にブラックジョークとして繋がっていき、「そうきたか!」となるのだ。
「頭頭」や「大日本人」でも狙っていた笑いなのだろうが、「しんぼる」でようやく成功したように私には思える。
「笑いがベタ」という批判もあるようだが、途中に仕込まれた小ネタは本題ではない。ラストに向けた陽動作戦とも取れる。

ラストがバッドエンディングでないところもよかった。
男が最後のボタンを押すと地球がドカン!なんていうエンディングもあり得ただろうが、やはりそれだとありきたりだ。
最後が余韻を持たせる終わり方をしているおかげで、「この後どうなるんだろう?」といろいろ妄想することも可能だし、愚かで何をしでかすか分からない人類を「それでいいんだ」と肯定しているようにも感じられる。


ちなみに、ググってたらこんなブログもあった。
なるほど・・・そういう見方もあるか。面白い。
http://anond.hatelabo.jp/20101107061410