リーダー戦略の限界

googlegmail を開始するという噂が流れた時、yahoo! の幹部は戦慄したそうな。yahoo!が10MBの容量まで無料で提供していた当時、gmail は1GBを無料で提供するという噂が流れたのだ(そして実際にそうした)。
yahoo!の幹部達は悩んだ。ユーザを奪われないためには、gmailと同等かそれ以上のサービスを提供する必要があった。しかし、google と違い、yahoo!は既に約1億2500万人のユーザを抱えていたのだ。
結局、yahoo!は無料で使用できる容量の引き上げを決断し、最終的には容量を無制限にした。
結果、yahoo!の判断は正しかったことが証明された。yahoo!は今でもメールプロバイダで首位である。また、容量を無制限にしたからといって、ディスク使用量が爆発的に増えるということもなかったようだ。

以上、クリス・アンダーソン「フリー」からの要約。
これは、リーダー戦略が有効でない(少なくともそう簡単ではない)という一例だろう。結果的に、yahoo!はリーダー戦略をとることにより(チャレンジャーであるgoogleの差別化を無意味にすることで)勝利した。しかし、時にはリーダーであること自体が足かせになることがあるのだ。小回りが利かなくなり、チャレンジャーの差別化に対抗するのが容易でなくなる。